Bright 英語教育

H30年度 イギリスブライトン大学でTESOL(英語教授法)を履修した公立高校教師が、英語教育について感じたこと・学んだこと、その他諸々を書き綴っていきます。 日本のbrightな英語教育を思い描きながら。

イギリスの学生 日本の学生

セメスター1を通して、日本とイギリスの大学での、学生の勉強に対する意識の差をはっきりと感じました。
率直に、イギリスの大学生は本当によく勉強するなあと感心しました!(もしくは日本の大学生が勉強しなさすぎ!?)図書館は試験前のみならず、常に学生で溢れています。また試験前には24時間オープンとなり、さすがに夜中に図書館使う学生いないだろ…と思っていたら、それが意外にいます。考えてみると、イギリスの大学では、キャンパス内に寮があり、食堂があり、運動できるジムがあり、ソーシャルスペースがあり、そして図書館がある。学生がキャンパス内で生活を完結させて、勉強に集中できる環境が整っているなあと感じます。学期中にアルバイトをする学生も少なく、平日は勉強に集中、金曜の夜からは勉強を忘れてひたすらエンジョイ!という生活をしているようです。そのメリハリも素敵ですが、やはり何より、意識高く勉強している!しっかりと目的を持って勉強している!そう強く感じます。

その意識の高さはどこから来るのか探るべく、イギリスの教育制度についてフラットメイトに聞いてみると、義務教育の最終学年である16歳時に、GCSE(General Certificate of Secondary Education)というテストがあり、それに向けてまず勉強を頑張ったといいます。このテストは「選抜」が目的でなく、「教育成果の証明」が目的で、このテストの結果がその先の進路に大きく関わるようです。GCSEは英語,数学,理科のほか,宗教,歴史,地理,フランス語,技術,美術など50科目程度が用意されています。学術科目だけでなく、実技科目もしっかり評価されるんですね!つまり、この16歳の時点までに、自分はどうしたいのか、何を勉強したいのかをよく考えて進路選択をする必要があるということです。フラットメイトは「演劇」という科目も自分で選んで受けたそうです。

日本はどうかと考えてみると、まずお馴染みの「偏差値」という概念があります。高校受験も大学受験も、受験生はこの偏差値を大きなモノサシにして受験校を選んでいるのが現状だと思います。自分が何を学びたいか、ということは二の次になってしまって、偏差値の高い学校へ!と考えてしまう生徒が多いです。中学生への進路指導でも、偏差値を上げなきゃ!偏差値を上げなきゃ!と悩んでいる生徒に、それで、将来どんなことしたいの?と聞いてみると、自分がしたいことについては全然考えていない生徒が多いです。「進学実績の高い高校→就職実績の高い大学→良い就職、安定した職」という流れがある以上仕方ない部分もあるかと思いますが、でも5教科のテストの偏差値で、美術の得意な生徒、音楽の得意な生徒の偏差値はどう図るんでしょうか。なんだか「偏差値が…」ということを気にしてしまう時点で、勉強、進路そのものへの意欲を削いでしまっているようでなりません。また、皮肉にも日本では「高校、大学に入学した時、目標を失う」ということがよくあると思います。入学するための受験勉強でエネルギーを使い切り、いざ入学をしたら、自分が何を学びたいのかよく分かっていないために勉強に力が入らず、路頭に迷ってしまう…。競争に勝つことが勉強の目的になってしまっていて、自分がどう知識を蓄えていくか、どう知恵をつけていくか、という部分が疎かになってしまう…。

単にイギリスが良くて日本が悪いということではありませんが、日本での偏差値を気にする受験競争にはどこかでストップをかけて、生徒一人一人が何をしたいのかじっくり考える時間を取らないと、この大学内での学生の意識の差は縮まらないように思います。2020年にセンター試験が「大学入学共通テスト」となり、従来のマークシートでの問題形式から、記述を含む思考力・判断力・表現力を問う形へと変わろうとしていることは非常に良い兆候だと思います。範囲の決まった知識比重のテストでなく、自分で考えることに重きを置くテストが、中学校レベルから増えていくといいなと思います。そうしたことが、自分が興味のあることの発見、探求したい意欲に繋がっていくと思います。