Bright 英語教育

イギリス大学院でTESOL(英語教授法)を履修した、英語教育とイギリスをこよなく愛する高校教師が、英語教育、英語学習、イギリス留学関係、その他諸々を書き綴っていくブログです。日本のbrightな英語教育を思い描きながら…。

小学校での英語教育

昨日セメスター2のエッセイ提出が全て終わりましたので、また学んだこと・考えたことを振り返りながらまとめていきたいと思います。
セメスター2では、exploring language teaching, language teacher educationといった教育制度や指導者研修の発達発展に特化したモジュールを取っていましたので、今回は今話題になっている小学校英語教育について思うことをまとめたいと思います。

 

さて、2020年の新学習指導要領施行を目前にして、小学校英語教育は大きな転換を迎えています。2020年より、小学校3・4年生から年間35時間の外国語活動が開始され、5・6年生では現在の外国語活動が教科化され、年間70時間の学習が必須になります。さらに教科化ですから評価を付けていくことにもなります。単に英語の学習時間が増えるのに対し、学習時間が減る教科があるわけではなく、実施の仕方は各学校にお任せします、とのことなので、各小学校の現場の先生へ、よりどっしりと負担がのしかかることは容易に想像が出来ます。。。

早期英語教育として、小学校での英語教育を強化していくことはとても重要だと思います。ただでさえ他国の英語教育に比べると遅れを取っています(すでに中国は小1から、韓国では小3から実施)。しかし、当然ですが単に早くから始めればいいというわけではなく、実施の中身を意味のあるものにしていかなければなりません。英語の学習時間が増えても、英語を学習することへの考え方、学習の仕方、授業の質が向上していかなければ、単に小学校の現場の先生を苦しめ、逆に英語に苦手意識を持ってしまう児童が増えてしまう恐れがあります。そこで現状での小学校英語教育はどうなのか、問題点は何か、何が必要なのかを、理論うんぬんではなく、現場の立場から明確にしていく必要があると思います。グローバル化だー!!英語の使える日本人の育成だー!!コミュニケーション能力の育成だー!!と掲げることは簡単でも、現場での問題は山積みですから。。。

 

幸運にも、昨年度勤めていた中学校では、小中連携教員を担い、生徒指導の一環で毎週水曜日に近隣の小学校を訪れ、6年生の外国語活動のサポートに入っていました。授業は担任の先生、外部専科の先生、隔週でALT、の2人もしくは3人で行っていました(そこに僕が生徒観察兼サポート役で参加)。授業プランは外部専科の先生が立て、担任の先生と共同で実施していくという形式でした。英語の授業は今後も担任の先生が主に担うこととなっています。もちろん小学校では担任が一番児童のことを理解し、心理的にも近い関係にあるというメリットもありますが、昨年度目にした現状を踏まえ、小学校で英語を教える先生に必要な資質を2点まとめます。

①簡単な英語を運用できる能力。
現状では英語に特化した訓練を受けていなくても小学校免許がとれ、小学校で英語を教えていくこととなります。当然、自身の英語運用能力に不安を抱いている先生方は多いです。Butler (2004)の調査によると、調査に参加した112名の小学校教諭のうち、85、3%の先生方が、自身が思う必要最低限の英語運用能力に達していないと答えたそうです。しかしながら授業の中では、「英語教師」として児童に英語運用のモデルを示すこと、英語学習初期の児童に対して正しい「音」を示し導くこと、ALTの先生と英語でコミュニケーションを取り、協力することが求められます。そうでなければ、担任をしている児童たちの前で、先生としての威厳を失くしていくことにも繋がりかねません。いくら専科の先生がいるからとはいえ、英語の教師として教壇に立つ以上は避けては通れないことだと思います。ネイティブのようになるという必要はなく、日本人の英語学習者として身振り手振りを交えながら、英語を運用するモデルを示すことが出来ればいいのかと思いますが、英語の時間を児童にとって学びの多い時間にするためには、教員の必要最低限の英語教授に関する知識、英語運用能力は不可欠です!!残念ながら現状では、多くの小学校教諭のその能力は十分ではなく、指導者研修も追いついていないように思います。。。

②英語教授を楽しめること。
聞こえは単純ですが、意外に難しく、これもまた不可欠な要素だと思います。様々な研究より、小学生は言語学習に柔軟で、音やリズムからの習得に長けて、他人とコミュニケーションを取ることにも臆さない傾向があると報告されています。また、中学生になると大きくなってしまう外から来る動機(受験のために英語を…)よりも、内から来る動機(英語を使えるようになりたい!英語の文化が面白い!)をもとに学習できるという報告もあります。そこで、小学校で英語を教える教員には、本当に英語を教えることに興味ややりがいを持っていて、熱意を持って英語教授を行える、児童と楽しめることが求められると思います。中学高校大学その先…と、生涯英語をどうようにとらえて学習していくかの最初のきっかけは小学校での英語教育に関わってきます。現状では、自身の英語力不足、授業準備が増えることなどから、60%を超える小学校の先生方が英語の授業を‘負担’ととらえています。そのような意識のもとで、児童に英語を魅力的に思わせる授業ができるのかは懐疑的です。。。


ではどうすればいいのか。個人的には思い切って中学校教諭を小学校へさらに派遣していくことが一つの解決策になると思います。専科の先生をもっともっと増やして、授業の主導を専科の先生に任せていくということも考えられますが、外部専科の先生が、どこまで教授原理や小中の英語学習の流れを理解して教壇に立てるかには差が出てくるように思えます。それであれば、各校一人ずつ中学校英語教諭を増やして、小学校へ派遣できる制度を作れば、英語に特化した教員が小学校で教壇立て、また小中連携の流れもよりスムーズになるように思います。またただでさえ忙しい小学校教員の負担の削減にもなります。去年小学校を訪れてみて、週一であれば、中学校での授業時間数次第では小学校に赴くことは可能だと感じましたし、授業に参加していて自分に主導権があれば、、、と、どこかもどかしさも感じたので、中学教員の小学校派遣、可能性としてはありだと思います。現在すでに法律的には中学校教員が小学校で授業を担当することも可能になっているようですが、まだまだ制度として実施はなされていません。もちろん小学校の先生方がこの大きな転換期に奮闘していることは重々理解しているつもりですが、英語の授業数を増やして、英語を使える生徒を育てるのであれば、‘どんな資質を持った教員が教えていくのか’を一番に考えていく必要があるように思います。小学校英語を教科化して評価するのであれば、ある程度英語教授の知識、英語運用能力、英語を教える熱意のある先生が教壇に立っていく必要があると思います。