Bright 英語教育

H30年度 イギリスブライトン大学でTESOL(英語教授法)を履修した公立高校教師が、英語教育について感じたこと・学んだこと、その他諸々を書き綴っていきます。 日本のbrightな英語教育を思い描きながら。

英語の発音?細かいことは気にするな!

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結構極端なタイトルを付けましたが、自分は留学前と後では発音に対する考え方が大きく変わった気がします。

 

 留学前に勤めていた中学校では、ALTはガーナ出身の方でした。当然発音もイントネーションも教科書で聞くアメリカンイングリッシュとは全く違いました。「th」の音は「チ」と発音していました。anythingはエニチンです。同僚の英語の先生は、生徒が困惑してしまうから、アメリカ出身の先生にしてほしいと不平を言っていました。私はうーん、確かにそうなんだけれど、でも彼の話している言語も英語だし、なんとも言えないよなあ、とモヤモヤしていました。「英語の発音は様々」と分かってはいるものの、心のどこかで、でも「スタンダードはアメリカン」という想いがありました。「R」は巻き舌、「a」は「アよりェ」っぽい音になるから、Japanは「ジェペェーン」というふうに伝えていました。

 

しかし、イギリスへの留学でその考えが覆りました。

まずイギリス人は、誰も巻き舌の「R」をやっていません。carは「カァ」、waterは「ウォウタァ」です。また、一口にイギリス英語と言っても、皇室も使うRPや、ロンドンのコックニースコットランド訛りなど、地域や階級によってバラバラです。さらに、イギリスには様々な人種、国籍の人が住んでいるので、様々な発音、アクセントの英語が飛び交っています。フランス人はフランス語に影響された英語、トルコ人トルコ語の影響を受けたまた違う英語、インドやパキスタン出身の方の英語はもっと違って聞こえます。もはや、英語にスタンダードはありません。

近年、学者はEnglish ではなく「Englishes」という複数形を勧めようとしたり、「native speaker」という言葉は死んだ、という論文を出した学者もいます。

 

 

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上の図は、Kachru(1982)が示した英語を話す人々の3つの分類です。真ん中の黄色い円が第一言語として英語を話す国々(アメリカ、イギリス、オーストラリアなど)、黄緑色のサークルが、第二言語として英語を話す国々(インド、ナイジェリア、シンガポールなど)、そして緑色のサークルが、英語を外国語として学習している国々です。ドイツ、中国、ロシア、ブラジル、日本などがこのサークルに属しています。注目したいのはその数です。Inner Circleは~約3億8000万人、Outer Circleは~約3億人、Expanding Circleは~約10億人となっていて、現在も増え続けています。

 つまり、今後の英語を用いてコミュニケーションする相手を考えてみると、第一言語として英語を話すイギリス人やアメリカ人などより、第二言語、もしくは外国語として英語を話すインド人、シンガポール人、ドイツ人、中国人などと英語でコミュニケーションを取る機会の方が多くなる可能性が高いです。その際、細かい発音やイントネーションの違いは、「それぞれ違っていて当然」と思われてあまり気にされません。それよりも、何を伝えたいのか、分かりやすい英語で伝えられることが重要とされます。

 日本人にはまだまだ「アメリカ英語がスタンダード」という考えがはびこっているように思います。英語教育の多くの場面でアメリカ英語に接してきているからなのかもしれません。しかし、アメリカ英語も英語の中の一種なのであり、その他の発音やイントネーションを否定してしまうのは間違いです。言語は文化と密接に結びついていますし、ある方の話す英語を否定してしまえば、その方の文化を否定してしまうことに繋がりかねません。ALTがガーナ人なのであれば、その英語を受け入れて、ガーナの文化を受け入れる必要があります。

そんな風に考えていけば、日本人だって、日本語に影響を受けた英語を話していてもいいと思います。実際に日本人風の発音でも国際的に活躍している方、ビジネスされている方はたくさんいます。大事なのは「何を伝えるかということ」と、「他者を受け入れること」だと思います。発音を気にしすぎて英語を話せないのはもったいないです。細かいことは気にしないで、堂々と伝えたいことを伝えていきましょう!