第二言語習得論 英語教育

international posture 「国際的志向性」の重要性を解説

2020年4月24日

こんにちは、タカヒロです。

 

この記事では、これからの英語学習で重要度を増していくであろう「国際的志向性 (international posture)」について解説していきます。

 

英語学習の目的として、コミュニケーションの重要性を増しています。

英語が読めて情報を収集できればいい時代から、英語を使って世界中の人とやり取りをしていく時代になってきていると言えます。

 

そうした時代の変化に合わせて、生徒の英語学習へのモチベーションは変化しており、学校の授業も変化させていく必要があります。

国際的志向性を意識することが、今後の授業作りへの大きなヒントとなります。

それでは見ていきましょう!

 

international posture 「国際的志向性」の重要性を解説

 

international posture「国際的志向性」とは、

 

異文化コミュニケーションを目的とした英語学習ゆえ、国際的な仕事をしたり、異文化の人々と接触するといった行動傾向を統合したコンセプト

 

と説明されています。(Yashima, 2001)

 

international postureを深く知っていくためには、「モチベーション」に関して理解しておく必要があります。

 

 

モチベーションが重要

英語学習を継続させて、英語力を向上させていくには、「モチベーション」が重要であり、多くの学者が研究を進めています。

 

「学習意欲(モチベーション)」 → 「学習行動」 → 「英語力の向上」

 

モチベーションがあるから学習行動をし、学習行動をするから英語力が向上していきます。

当然と言えば、当然なことですね。

しかし、モチベーションはガソリンのようなものであり、ガソリンがなかったらどんなに性能が良い車も走らないのと同じで、モチベーションがなければ、どんなに優秀な人でも英語を勉強しないし、英語力は向上しません。

そもそものモチベーションがなかったら、英語力を向上させるスタート地点に立てないってことになります。

つまり、モチベーションは英語学習では非常に重要です。

 

integrative motivation「統合的動機」 と instrumental motivation「道具的動機」

 

モチベーションといっても研究者によって様々な分類がされています。

よく目にするのはGerdner (1985)の区分です。

Gerderはモチベーションを

integrative motivation「統合的動機」 と instrumental motivation「道具的動機」

に分けています。

 

統合的動機とは、学習対象言語を話す人や文化に好意を持っていることから生まれる動機付けのことを言います。

 

例えば

・英語を話せるようになって、海外の人とやりとりしたい

・英語出来るようになって、イギリスで暮らしてイギリスの一員になってみたい

 

というように自分の内側からふつふつ湧き出るようなモチベーションのことを言います。

 

一方で道具的動機とは、何か特定の実利的な目的のために学習する動機づけのことを言います。

例えば、

・就活のためにTOEIC750取れるように頑張らなきゃ!・テストで10位以内入ったらゲーム買ってもらえるから頑張ろ!

 

といったように、自分の外側に動機の要因があるようなモチベーションです。

 

統合的と道具的、どちらが良い悪いとかではなく、どっちも重要なモチベーションであり、学習する時期によって変化したりもします。

日本人の場合は、普段なかなか英語を使う機会がないということもあり、「道具的動機が高めである」という研究結果が多いです。

 

モチベーションにはこれ!という明確な区分はありませんが、英語学習に必要不可欠な要素であることは間違いありません。

 

モチベーションを高めるには国際的志向性が重要!

ではどのようにしてモチベーションを喚起していくのか。

今回注目したいのがYashima (2001)の研究です。

Yashima (2001)の研究によると、日本では周囲に英語でコミュニケーションをする相手が溢れているわけではないし、むしろ、漠然と何か国際的なもの、日本の外の物事への関心や、ああ、海外行きたいなあ、海外で仕事したいなあ、外国人と話せるようになりたいなあ、と言ったような「国際的志向性 (international posture)」が、日本人の英語学習にはモチベーションと深く関わっているのではないか、と提唱しています。

 

彼女の大学生約300人を対象にした研究では、「学習者が、調査時点までの学習や経験の中で形成してきた、国際的志向性が、学習意欲と結びつき、これまでの学習の集積としての英語力に反映されている」と結論付けています。

 

つまり、

国際的志向性」→「学習意欲(モチベーション)」→「学習行動」→「英語力の向上」

 

のように、日本人の英語学習においては、英語力を向上させるために、漠然とでも海外に興味を持ったり、国際的に活躍したいなあというイメージを持ったりと、「国際的志向性」をもつことがとっても重要なカギとなるということです。

 

道具的動機だけでも、短期的には英語力は向上するかもしれないけれど、長期的にみて、英語力を高めたいのであれば、「国際的志向性」をまず持て!と。

実際に英語力の伸びる生徒のほとんどが「海外への憧れ」をもっているなあと感じるので、ものすごく納得です。

 

さらに彼女の研究では、「英語教育の目的がコミュニケーションや異文化理解に移行すればするほど、国際的志向性が関与する度合いは増していく」と述べています。

つまり、これからの時代、今よりももっと国際的志向性を持っているかどうかが重要になってくる!ということです。

 

教員が教室でできることは?

 

では教員は生徒の国際的志向性を喚起するために、教室では何が出来るのか。

生徒の国際的志向性に影響を与えうる要因を挙げてみると、

インターネットによる海外へのアクセス、ALTの存在、教師の話、教材の内容、親の国際的関心、友人の影響、周りに外国人がいるか、海外経験の長い人がいるか、

といったような物理的、人的環境が考えられます。

 

より具体的に考えると、

・Zoomなどを用いて海外と中継する

・教室に留学生や日本で暮らす外国人を招いてコミュニケーションを取る活動をする

・世界一周した人が作った動画を見せる

・海外のリアルタイムニュースを題材として取り上げる

 

などが考えられます。

要は、教室で「生徒」と「海外」の繋がりを作ることが大切になります。

 

文法を詳しく解説する、長文読解をする、ということも短期的にみれば、道具的動機を刺激できて有効ですが、長期的にみて、生徒の「国際的志向性」を喚起する取り組みを授業を通してやっていくことが重要だなあと思います。

是非、この「国際的志向性」を念頭に置いて、授業を考えていきましょう!!

 

<参考>YASHIMA Tomoko (2001).「国際的志向性」と英語学習モーティベーション-異文化間コミュニケーションの観点から-

スポンサーリンク

-第二言語習得論, 英語教育

© 2024 TAKA blog