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MA TESOLとは?英語教員が取得するメリットを解説

2021年9月27日

こんにちは、タカヒロです。

 

MA TESOLって何だろう?英語教師のキャリアアップに役立つのだろうか?

 

そんな疑問にお応えします!

 

英語教師としてのキャリアアップを考える際、MA TESOLの取得を検討してみる方は多いように思います。

しかしMA TESOLはまだ日本ではそこまで馴染みがないため、謎なことが多いですよね。

そこでこの記事ではそもそもTESOLとは何か、どこで取得できるのか、英語教員が取得するメリットは何かという点について紹介していきます。

 

この記事の内容

・TESOLとは何か

・MA TESOLはどこで取得できるのか

・英語教員がMA TESOLを取得するメリットとは

 

筆者の経歴

・中学教員5年

・イギリス大学院(University of Brighton)でMA TESOLを修得

・高校教員2年

・現在は私立大学、私立高校の非常勤講師

 

僕は公立中学で働きながら大学院進学へ準備し、休職してイギリスでMA TESOLを修得してきました。

 

その経験を踏まえながら書いていきたいと思います。

 

とりあえずTESOLに関する情報を集めるつもりで読んでいただけたらと思います。

それではどうぞ!

 

MA TESOLとは?英語教員が取得するメリットを解説

TESOLとは何か?

 

TESOL(テソルまたはティーソル)とはTeaching English to Speakers of Other Languages(他言語話者への英語教授法)の略であり、英語を母国語としない人々へ、どのように英語を教えていくかということを研究する分野です。

まさに

・英語教師としてキャリアアップしていきたい

・英語教育に携わる仕事がしたい 

という方にはぴったりの研究分野になります。

 

TESOLは研究分野の総称であり、「資格」ではありません。

「TESOL資格を保有」という言い方には語弊があり、

「TESOLを専攻し、MAを修得した」「TESOLコースを修了した」などが正しい言い方となります。

 

一口にTESOLと言っても、

・短期間(10~15週程度)で取得できるTESOL Certificate

・中期間(60週程度)で取得できるGraduate Diploma in TESOL

・長期間(1~2年)が取得にかかり、大学院修士課程に相当するMA TESOL

など幅広くあります。

 

英会話スクールの講師欄に「TESOL取得者だけが在籍」と書いてあることがありますが、短期間の研修でも「TESOL取得」とは書けるわけですね。

 

TESL・TEFLとの違いは?

TESOLと似た名称に、TESL(テスル)TEFL(テフル)があります。

 

・TESLはTeaching English as a Second Language(第二言語としての英語教授法)

・TEFLはTeaching English as a Foreign Language(外国語としての英語教授法)

の略称となります。

 

インドやシンガポールなど、英語が公用語として使われており、第二言語としての英語を教える場合にはTESL、

日本を始め多くのアジア諸国のように、英語が公用語とはなっておらず、外国語としての英語を教える場合にはTEFLが対象となってきます。

 

TESOLはTESLやTEFLを含めた総称になります。

 

MA TESOLでは何が学べるの?

次に、MA TESOLでは何が学べるのかを見ていきましょう。

 

MA TESOLの分野では

・Linguistics(言語学)

・Methodology(教授法)

・Second Language Acquisition(第二言語習得理論)

・Curriculum (カリキュラム・教材開発)

などに関する様々な科目を学ぶことができます。

 

例として僕が留学したUniversity of BrightonのMA TESOLの科目内容を見てみましょう。

University of BrightonのMA TESOLでは、年間で【4つの必修科目、3つの選択科目(option)、修士論文】を全てパスする必要がありました。

科目の内容は以下の通りです。

※説明はシラバスを一部抜粋し翻訳したものになります。多少堅苦しい翻訳になっている点はご了承ください。

Research Methods(リサーチメソッド)

このモジュールでは、第二言語教授、習得に適切なリサーチメソッドの理解や発見学習に焦点を当てます。それらは学術論文作成をサポートできるようデザインされていて、論文を作成するうえでの理論的根拠、目的、方法を明確にし、また研究に関連した適切な材料を選び出すことが出来るようになります。受講者たちはデータを伴ったプロジェクトや、論文に向けての研究アウトラインを完成させます。

 

Second Language Teaching(第二言語教授)

このモジュールでは、教室でのやりとりや管理について、カリキュラム等に関する発展について、学習者のニーズや態度を理解について、第二言語教授においての社会的背景の役割についてなどに重点を置きます。受講者たちはそれぞれ言語教授のひとつの観点から研究した異なった問題点を提示することでしょう。

 

Language  Teaching and Technology(言語教授とテクノロジー)

このモジュールでは、第二言語学習でのデジタル技術の使用について取り扱います。生徒は技術、アプリ、ツールに関して研究し、言語学習や言語教授への統合を図ります。ほかにも関連事項として、テキストの操作方法、コンピュータを用いてのwriting、ブログ、ソーシャルメディア、電子黒板、デジタルプレイ、携帯・pod端末の使用について取り扱います。

 

Language Teacher Education(言語教員の育成)

このモジュールでは言語教員の育成や発展を支える理論について研究します。このコースでは言語教員の育成や発展に様々な方面からアプローチし、そうすることで、特定の状況でのニーズを認識し取り組みことができます。あなたの分析は専門的な問題に言及し、言語教員の育成や発展に関して向上させる提案をすることでしょう。

 

Dissertation (修士論文)

修士論文では、担当教授の指導の元、コースで身に付けた知識やスキルを持って、個人の規模で完成させる研究を行います。論文では第二言語教育に関連した問題の出典確認や批判的分析を含み、また最近の調査を含んだ広い調査を含みます。その基礎として、適切なリサーチメソッドや、データ統合や分析、プレゼンテーションやディスカッションといった探究をしていくこととなります。

 

Option : Investigating Language Classroom (言語教室の観察研究)

このモジュールでは、じかに教室の観察を行います。生徒は、生徒自身の教授経験をもとに、教室研究に基づいたプレゼンテーションを行います。

 

Option : Language Awareness (言語知覚)

このモジュールでは、生徒の英語理解や話法の理解を促進させます。注意深く評価する能力、近年英語教授で使用されているclassificatory frameworksについても取り上げます。

 

Option : English Language Teaching Materials  (英語教授教材)

このモジュールでは第二言語教授や第二言語学習で効果的な教材を作り出す能力を高めます。学習者のニーズに取り組む異なったメディアの可能性を調査することや、教材開発や運用への技術を調査することによる、教材開発へのデザインの過程が重要な達成目標となります。

 

Option : Second Language Acquisition (第二言語習得論)

このモジュールでは英語教授に向けたSLAリサーチに重点を置き、第二言語学習について研究します。現代の研究や理論は教育実践に重要な手助けとなります。

 

Option : Teaching English as an International Language  (国際言語としての英語教授)

このモジュールでは、国家的にも国際的にも使用される英語の深さや多様性に注目し、その多様性の要因を研究します。第二言語としての英語教授や英語学習のかかわりを考慮し、エッセイを書くために関連した事項を調査していきます。

 

University of Brightonは専門学校から成りあがった大学であることもあり、どちらかというと実践的な内容が多く学べました。

特にOptionで選んだ「 Investigating Language Classroom (言語教室の観察研究)」では、実際にブライトンにある3つの語学学校に出向いて授業見学を行いました。自分で決めたテーマについて先生方にインタビューをしたりと、かなり実践的に学べました。

 

科目内容は大学によって変わってきます。

理論的なことをメインに学べる大学もあれば、実践重視に学べる大学もあります。

 

ご自身の狙いに合わせて選んでいきましょう!

 

MA TESOLは教授経験の有無が関わる

大学院レベルのMA TESOLでは、

「教員経験者」と「教員未経験者」でコースが分かれることが多いです。

 

例えば僕が留学したUniversity of Brighton MA TESOLでは「教授経験が2年以上あるかどうか」で選択できる科目が変わりました。

 

個人的には、MA TESOLを目指すのであれば、数年間日本の教育現場で働いてからがおすすめです。

現場での経験があることによって、

学びたいことが明確になっている 

→課題意識(何を研究したいのか)を明確にしてコースに参加できる

人的ネットワークが広がりやすい

→他国の先生方と対等に意見交換がしやすくなる

多少お金に余裕ができ、幅広い経験ができる

→勉学以外にも留学を満喫しやすい

からです。

 

より詳しくはこちらの記事【教員の留学】教員が留学(MA TESOL)に行くなら数年働いてからが良い理由に書いています。

興味のある方は是非ご覧ください。

 

MA TESOLはどこで取得できるの?

次に、MA TESOLはどこで取得することができるのかを見ていきましょう。

 

大学院レベルであるMA TESOLは日本国内、または主に英語圏の大学で取得することができます。

最近は完全オンラインで取得できる大学も増えてきていますね!

 

日本国内では

などで取得することができます。

 

家族がいて、全員で海外へ渡航することが難しい場合には検討の余地ありですね。

 

海外の大学院では、修士課程の履修期間が国によって変わってきます。

基本的には

・アメリカ 2年

・イギリス 1年

・オーストラリア 1年~1年半

が履修期間となってきます。

 

休職して留学する場合には、どれくらいの期間、休職ができるのかによっても、進学先が変わってきますね!

留学先に関しては、

・何を学びたいのか

・学校全体の評判

・International Studentsの割合

・地理的な要素

といったことを考慮して決めていきましょう。

より詳しくはこちらの記事【イギリス大学院】留学先の選び方で重要な4つのポイントを解説!を参考にされて下さい。

 

イギリスで大学院を探される場合は、こちらのホームページが便利です。

イギリスでTESOLを学ぶ (ukeducation.jp)

 

 

また、履修期間が変わると、掛かってくる費用も変わってきます。

ご参考までに、僕がイギリス大学院へ一年間留学した際の費用は

ざっくりと

・学費250万円

・寮、家賃150万円

・生活費、交際費100万円

合計500万円程でした。

 

とにかく学費が高額なので、奨学金を早めに検討することがおすすめです…!

 

 

英語教員がMA TESOLを取得するメリット

 

続いて、英語教員がTESOLを取得するメリットを見ていきましょう。

ここでは、筆者のイギリス大学院MA TESOLでの経験を元に書いていきます。

 

MA TESOLを経て感じたメリットは以下の3点です。

 

日本での英語教育の見方が変わる

教える「英語」に対する見方が変わる

将来のキャリアが変わる

 

順番に見ていきます。

 

日本での英語教育の見方が変わる

TESOLでは世界基準の英語教授法を学ぶことができます。

海外大学院では、他国の先生方と学び合う機会で溢れているため、日本の英語教育を客観的に見直すことができます。

 

日本では受験への意識が高いことから、文法訳読が中心の教授が続いています。

 

しかし日本と同じように「外国語として英語を学んでいるアジアの国々」でも、英語の教え方は全く違っており(communicative teachingが主流)、他国の先生方と意見を交換することで英語教授に対する視野が広がっていきます。

 

・今後の日本の英語教育には何が必要なのか

・生徒にどういった力を付けさせていったらよいのか

 

そういったことを深く考えて学べることから、TESOL修得後の自身の教授方法に大きく関わってくることは間違いありません。

 

教える「英語」に対する見方が変わる

日本で使っているテキストはアメリカベースのものが多く、日本人にはどこか「英語のスタンダードはアメリカ英語」といった意識を持っている方が多いように思います。

 

エレベーターは「lift」(イギリス英語)ではなく「elevator」(アメリカ英語)と書き、

good day は「グッダイ」(オーストラリア英語)ではなく、「グッデイ」(アメリカ英語)と言いますね。

 

教えている側も、意識していないと無意識にアメリカ英語が「正しい英語」と思ってしまいがちになってしまいます。

 

しかし、アメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語、さらにはシンガポール英語、インド英語も全てが「対等な英語」であり、言語間での違いはerror ではなくdifferenceです。

 

日本で教員として働き出すと時間的なゆとりがなく、中々意識が向かない所ですが、

TESOLを学ぶことで、

・そもそも、どんな英語を教えたらいいのか

・生徒はどんな英語力を身に付ける必要があるのか

といった問題にじっくりと思考を巡らせることができます。

 

将来のキャリアが変わる

MA TESOLを取得することで、キャリアの幅が広がります。

 

中高で英語の中核教員になる

大学のポジションへ応募できるようになる

英語コーチや英語講師としてのデビューを考える

そういった道が開けてきます。

 

中高教員でMA TESOLを修得している方はごく一部です。

そのため希少価値の高い教員となることができ、英語科の中核教員になっていくことができるでしょう。

 

また、MA TESOLを修得すると、大学のポジションへの道が開けてきます。

大学での英語講師の応募条件に「TESOL(英語教授法)の修士」と書かれていることが多いためです。

 

さらに、MA TESOLを修得していると、英会話教室や英語塾での採用にも有利になる場合があります。

将来的に英語講師として独立することを考えるのであれば、MA TESOLの修得は重要な要素となってきますね。

 

現場での英語教員だけに縛られない働き方が可能になっていく。それがMA TESOLを修得することの最大のメリットの一つです。

 

まとめ

この記事では

・TESOLとは何か

・MA TESOLはどこで取得できるのか

・英語教員がMA TESOLを取得するメリットは何か

をご紹介しました。

 

一度現場から離れて、じっくりと英語教授に関して学び直すことは、長い目で見れば必ずプラスの経験になります。

まずはご自身の目的に合ったコース先の情報を集めてみましょう。

 

教員の留学や、スキルアップに関してはこちらの記事にまとめています。

是非合わせてご覧ください!

ではまた!

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