Bright 英語教育

H30年度 イギリスブライトン大学でTESOL(英語教授法)を履修した公立高校教師が、英語教育について感じたこと・学んだこと、その他諸々を書き綴っていきます。 日本のbrightな英語教育を思い描きながら。

英語はいつまでに始めるべき!? 臨界期仮説に関して思うこと

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第二言語の習得に関して、学習開始年齢が習得の成否に影響を与える、、、という研究は数多くされています。

 

その中で、「臨界期仮説」という定説が時より取り上げられます。

 

 

今回はその臨界期仮説に関して思うことをまとめました。

 

臨界期仮説とは

臨界期仮説とは、ざっくり言うと、言語の習得に関して「この時期を過ぎてから言語習得始めても、ネイティブと同じ言語能力は身に付かないよ」ということが提唱されている仮説です。

その時期とは12歳であるとか、9歳であるとか、学者によってまちまちで、統一の見解は出されていません。

しかし、脳神経生物学的な研究から、脳の構造が特定の年齢までに変化し、その後は柔軟性を喪失してしまうという報告がされており、また母語を習得していくにつれて、言語処理のシステムが確立されていくので、第二言語を習得する際に母語がフィルターになってしまって、第二言語は不十分な習得しか達成できないと発表している論文もあります。

感覚的にも、幼い時の方が頭が柔らかくて、細かい分析などは無しに自然に第二言語を習得できるようなイメージがあります。

この臨界期仮説の通りであれば、宇多田ヒカルの英語がネイティブ並みなのは、彼女が幼少期を海外で過ごしていて臨界期には英語を習得し始めていたからであり、逆にパックンや厚切りジェイソンの話す日本語が日本人からしたら若干違和感を感じるのは、彼らが臨界期を過ぎてから日本語を勉強し始めたからだ、と説明することができます。


そんな臨界期仮説の影響もあり、「じゃあ幼いうちから英語をやらせなきゃー!」と幼稚園から英会話に通わせたり、「小学校での英語教育も前倒しにしなきゃー!」と議論したりしています。


それはそれで間違っているわけではありませんが、ちょっと疑問に思うことがあります。

 

臨界期よりも重要なこと

そもそも、ネイティブ並みになる必要があるのでしょうか?!

臨界期仮説のポイントは、この時期を過ぎて第二言語を始めても、ネイティブ並みにはならないよ、という点です。

第二言語自体は臨界期を過ぎても十分学べます。

むしろ、言語習得ではOlder is faster, Younger is betterと言われるように、
若ければ、よりネイティブに近い言語能力を身に付けることができますが、大人になるにつれ、発展した認知能力を使って、短期的に素早く学習することができるとされています。

中学校から文法指導が始まるのはそのためです。

母国語がしっかり身についてからの方が、母国語と比較しながら学ぶこともできるし、抽象的なことも理解しやすいです。

 

そして、アメリカ人はイギリス人など英語ネイティブの人口よりも、第二言語として、もしくは外国語として英語を話す人口の割合の方が増えている現状を考えると、ネイティブ並みに発音出来ることは、さほどメリットにならない気がします。

世界中で話されている英語の多くが、母国語によって影響を受けた英語です。

渡辺謙さんは日本語訛りの英語ですが、バリバリにハリウッドで活躍されています。

パックンや厚切りジェイソンの日本語が、多少イントネーションがおかしくても別に気にならない事と同じで、ネイティブ並みの発音で話すこと自体はあまり注目されず、それより、その人が何を話すのか、その言語を使って何をするのか、という方がよっぽど重要です。

 

大人になってから第二言語を学び始めても、十分国際的に通用する能力は手に入ります。

臨界期までに第二言語を始めなかったから手遅れ、ということはありません。

臨界期より大切なことは、身に付けた第二言語で何をするか、という点ではないでしょうか。

 

ということで、個人的には臨界期仮説はあまり気にしなくてもよいのではないか、と思います。

 

 

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www.bright-english-edu.com

 

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