最近英語学習の中で耳にするようになってきた「リンガ・フランカ」。
「英語はリンガ・フランカとして重要な役割を担っている」
なんて使ったりしますが、どのような意味なのでしょうか?
リンガ・フランカとは?
リンガ・フランカとは、世界のどの地域ということに関わりなく、言語の通じない人々同士が通商などのために用いる「共通語」「公用語」です。
現在でいうと、例えばアメリカ人やイギリス人と日本人がやりとりをする際に英語が用いられるのみならず、日本人と中国人、タイ人など、英語を母国語としない国の人々とやり取りをする際にも英語が用いられることが多いです。
このような場合、英語はリンガ・フランカとして使われています。
リンガ・フランカは現代の英語だけではありません。
歴史を遡ると、第二次世界大戦後の共産圏内ではロシア語がリンガ・フランカであったし、もっと遡ると、ルネサンス期のヨーロッパでは学問の象徴としてラテン語が普及していました。学者たちがギリシア語の古典をラテン語訳したため、ラテン語ができればギリシアローマの古典を一通り読めたと言われています。
リンガ・フランカとしての英語?
「英語がリンガ・フランカになってきてるんだったら、じゃあもういっそのこと、世界中“英語”に統一しちゃえばいいじゃん!そうすれば第二言語学ぶ時間を他に使えるし、もっとスムーズな世の中になるんじゃないの?」
しかし中々そうはいかないんですね。
なぜかと言うと、言語は文化と密接に関わっています。
その地域の文化があるから言語が生まれ、言語があるから文化が育ってきたんですね。
もし日本語が使われなくなってしまったら、間違いなく日本の文化は崩壊します。
「いただきます」「お疲れ様です」なんて言えなくなるし、長らく歴史の中で培ってきた日本独自のものを語り継げなくなります。
そうすると、日本人って何者なんだ!?とアイデンティティさえ疑うことに繋がりそうです。
また、現在英語が世界中で使われているのは18世紀のイギリス、19世紀のアメリカによる影響が大きいです。
世界での「権力」を栄養として伸び広がっていったわけです。
歴史を振り返っても、共産圏はロシアの支配下に、ラテン語が普及した中世ヨーロッパも、ローマ帝国の支配下にありました。
現在、英語を使うということは英語圏の文化に知らぬ間に浸っているということです。もし英語だけを使うとなってしまったら、世界中の様々な文化が英語圏の文化に浸食されるということになってしまいます。
「じゃあさ、文化に関係のない、人口言語作ればいいんじゃない!?」
実際その動きもありました!平等な新しい言語を作ろう!ってことで、ヴィラピュック語やエスペラントという言語が作られたりしました。
しかしうまく広がらなかったんですね。
なぜかというと、言語は文化の中で常に新しく生まれ変わっていきます。
日本語でも「ウザい」「キモい」「タピる」、、、どんどん新しい言葉が生まれていきます。
言語が生きたものであるためには、時代に合わせて新しい単語や表現を次々に生み出していく必要があります。
人口言語ではそれができません。いちいち世界中の代表を集めてこの単語をこういう意味で使おう、なんて確認やってられないですからね。
そういったわけで、人口言語は普及していきませんでした。
「じゃあ、どうすりゃ一番いいのさ!?」
実際これだけ英語が世界中で使われていて、「リンガ・フランカ」と呼ばれるまでになっているわれですから、そのメリットは使いましょう!
上の図のように、英語はイギリスやアメリカなど第一言語として英語を使う国から、インド、シンガポールなど第二言語として英語を使う国、さらに日本、タイなど外国語として英語を学ぶ国々とどんどん広がっていきました。
英語が出来れば文化に関係なく世界中の英語が出来る人とやり取りができるなんてほんと素敵です!!
ただし、英語は英語圏の文化が背景にあるということを念頭に置いて、文化的に侵略されないように気を付けること、英語をコミュニケーションツールとして使うことが重要だと思います!
そんなことを是非生徒に伝えていきたい!!
と考える休校中の穏やかな今日この頃です。