第二言語習得論 英語教育

【英語教師は知っておきたい】第二言語習得論の重要用語10を解説

2022年1月30日

こんにちは、タカヒロです。

 

この記事では「第二言語習得論でよく聞く重要用語を10個」を紹介していきます。

これらの用語を抑えていくことで、第二言語習得論とはどういった学問なのかが見えてきます。

 

 

特に英語教師の方は知っておくと便利な用語になりますで、是非最後までご覧ください。

 

有名な学説と一緒に紹介していきます。それでは早速参りましょう!

 

 

【英語教師は知っておきたい】第二言語習得論の重要用語10を解説

①ESL、EFL

 

ESLとは「English as a Second Language」(第二言語としての英語)

EFLとは「English as a Foreign Language」(外国語としての英語)

の略になります。

 

何が違うのかと言うと、

インドやシンガポールのように英語が使用されている国や地域で英語を習得しようとする場合はESL

日本、中国、サウジアラビアのように英語が使用されていない国や地域で英語を習得しようとする場合はEFLとなります。

 

この点について分かりやすいのが、カチュルによる3サークルの分類です。

Kachru(1982)

 

中心の黄色いサークルが第一言語として英語を話す国々(アメリカ、イギリス、オーストラリアなど)

黄緑色のサークルが、第二言語として英語を話す国々(インド、ナイジェリア、シンガポールなど)

緑色のサークルが、英語を外国語として学習している国々(ドイツ、中国、ロシア、ブラジル、日本など)

といったように分類されます。

 

Inner Circleは~約3億8000万人、Outer Circleは~約3億人、Expanding Circleは~約10億人となっていて、現在も増え続けています。

注目しておきたい事実は、第一言語として英語を話すイギリス人やアメリカ人などより、第二言語、もしくは外国語として英語を話すインド人、シンガポール人、ドイツ人、中国人などの方が圧倒的に数が多いということです。

 

この辺りの事実が、今後「どんな英語を身に付けるべきなのか」ということに関わってきますね。

 

 

 

②Lingua Franca

Lingua Francaとは、世界のどの地域ということに関わりなく、言語の通じない人々同士が通商などのために用いる「共通語」「公用語」のことを言います。

 

例えば、英語を母国語としない日本人とサウジアラビア人が、共通語として英語を用いてやり取りする場合、英語はLingua Francaとして働いていることになります。

 

下の図のように、英語の役割は「native speaker - native speaker」 間での言語としてから、「native speaker - non native speaker」また「non native speaker - non native speaker」でのコミュニケーションツールへと広がっていっています。

 

 

 

この三段目が「リンガフランカとしての英語」となっているわけですね!

 

英語が出来れば文化に関係なく世界中の英語が出来る人とやり取りができるようになっていることはほんとに素敵です!

ただし、英語は英語圏の文化が背景にあるということを念頭に置いて、文化的に侵略されないように気を付けること、英語をコミュニケーションツールとして使うことが重要です。

 

 

 

③臨界期説

 

臨界期とは「言語を完全に習得する能力は、人生初期のある一定期間である」という考えです。

 

この期間を過ぎると、言語習得が不完全になってしまうというような臨界期仮説(Critical Period Hypothesis)が議論されています。

 

臨界期は12~13歳くらいまでであるとする説が多いです。

 

確かに、幼少期を英語圏で過ごした子供はバイリンガルになりうるのに対し、ずっと日本国内(日本の教育)で育った場合には、バイリンガルになることは難しいですよね。

 

例えば、厚切りジェイソンは非常に日本語が達者です。

しかし、日本人からしたら日本語ネイティブでないことは分かりますよね。

それは彼が幼少期から日本で生活していたわけではなく、第二言語として日本語を習得していったからなわけですね!

 

 

 

④生成文法

生成文法とは、言語学者のチョムスキーが提唱した

人間が言葉を生み出すことの根底には、すべての個別言語に共通の文法である「普遍文法」が存在するのではないか。

そして言語を習得する能力は生得的に備わっているのだ。

という理論になります。

 

古来、「人は何もない状態から、行動によってすべての知識や能力は習得・蓄積されていくもの」と考えられていましたが、

チョムスキーはその考えに異を唱え、「母語を獲得する能力は、誰にも生得的に備わっているのだ」という議論を展開しました。

 

また、人間の脳は幼少期にどの言語が母国語になっても対応できるよう、どんな言葉でも、複数の言葉でも受容できるようにデザインされていると論じています。

確かに、日本人の間で生まれた子供であっても、英語圏で生まれ育てば日本語と英語のバイリンガルに、アラビア語圏内で育てば日本語とアラビア語のバイリンガルになっていきます。

フランス語、ドイツ語、オランダ語が公用語となっているベルギーにトリリンガルが多いのも納得です。

 

より詳しくはこちらの記事をご覧ください!

 

⑤インプットとアウトプット

 

英語学習にはインプットとアウトプットが欠かせないということは広く知られていますね。

 

双方の有名な学説を取り上げると、

 

クラッシェンは「言語習得はインプットさえあれば十分である、理解可能なインプットを大量に取り込めば、第二言語は自然と身に付く」としたインプット仮説(Input Hypothesis)を提唱しました。(Krashen, 1982, 1985)

その一方、

スウェインは英語を母語とするフランス語学習者が、フランス語の大量インプットができるカナダにおいても伸びが見られなかったことから、アウトプットすることで、第二言語習得は促進されるとするアウトプット仮説(Output Hypothesis)を提唱しました。(Swain, 1985, 2005)

 

様々な研究成果の末、インプット・アウトプットどちらも重要とする現代の流れに繋がっているのですね!

 

それぞれの学習段階でどういったインプット・アウトプットが必要なのか、その割合はどうするべきなのかなど、言語学習の効率化に直結している部分ですね!

 

 

 

⑥言語間の距離

言語間の距離(Linguistic Distance)とは、異なる言語がどれくらい似ているか・異なるかということを分析したものです。

 

下の図はアメリカの国務省による「外国語習得難易度ランキング」というデータになります。

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このデータによると、日本語は英語から最も言語間の距離が遠い「カテゴリー5」に分類されています。

 

例えば、両言語の文字を比較してみると

・英語は26種のアルファベット

・日本語は46個のひらがなとカタカナ、10万以上あるとされている漢字の組み合わせ

で成り立っており、

りんごは英語で「apple」ですが、日本語では「りんご」「リンゴ」「林檎」です。全く違いますね。

 

英語を母国語とする人にとっては、フランス語やドイツを習得するより、全く言語形態の違う日本語を習得する方が遥かに難しいということです。

裏を返せば、日本人が英語を習得することは、フランス人やドイツ人が英語を習得するより遥かに難しいということですね!

 

日本人が英語を勉強していること自体にもっと自信を持って良いように思います。

 

 

⑦中間言語

 

中間言語(Interlanguage)とは「母語でも第二言語(目標言語)でもない、学習者が使う独自のルール(言語体系)を持った特殊な言語」のことを言い、Seliker(1972)によって名付けられました。

 

例えば、日本語母語者が英語を学習する際、日本語と英語とのギャップがゆえ、様々な間違いを起こしていきますよね。

日本人の英語学習者には、単数複数のミス、冠詞のミス、時制の一致のミスが多いというような研究があります。

またアラビア語話者と比べて、日本語話者はあえて関係詞を使わない傾向にあるという研究もあります。

 

 

このイメージのように英語習得の過程の中で、独自のルールを持つという段階を経て習得していくわけですね!

 

 

 

⑧コミュニケーション能力

コミュニケーション能力(communicative competence)は以下の4つの要素から構成されていると考えられています。(Canale, 1983)

 

①文法能力 (grammatical competence)

・・・語彙や文単位の統語知識

②社会言語学的能力(sociolinguistic competence )

・・・その場の状況や相手に応じて適切な言語使用ができる能力

③談話能力 ( discourse competence )

・・・一文以上のまとまりのある談話を構成する能力

④方略能力 ( strategic competence )

・・・言語能力の欠如を補うストラテジーを使いこなす能力

 

英語の授業では「コミュニケーション能力の育成」に焦点が当てられつつありますが、

言語活動をする際にはさらに上の4つのうちどの能力に焦点を当てているのかを意識していきたいですね!

 

 

⑨学習ストラテジー

 

学習ストラテジー ( learning strategy)とは、「学習をより易しく、より早く、より楽しく、より自主的に、より効果的に、そして新しい状況に素早く対処するために学習者がとる具体的な行動」と定義されています。(Oxford, 1990)

 

英語を勉強する際、実に様々な学習ストラテジーを用いています。

 

「教科書を繰り返し読む」

「辞書を引いて単語を調べる」

「オンライン英会話でネイティブに表現を直してもらう」

 

そうしたすべての具体的な行動が、学習ストラテジーであるというわけですね。

 

オックスフォードは学習ストラテジーを直接ストラテジーと間接ストラテジー、さらにそれぞれを3つずつに分類しました。

 

多くの学習ストラテジーを知っていて、タスクに応じて適切に使い分けることが、より効率的な言語習得につながるとする研究報告がされています。

 

より詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

 

⑩学習動機

最後に学習動機 ( learning motivation)です。

車にガソリンがなければ走らないことと同じように、学習動機がなければ学習は進んで行きません。

 

学習動機を分類した有名な研究はガードナーらによるものです。

ガードナーらは学習動機を「統合的動機(integrative motivation)」と「道具的動機(instrumental motivation)」に分けました。

 

統合的動機づけとは、学習対象言語を話す人や文化に好意を持っていることから生まれる動機付けのことを言います。

例えば、

・海外旅行に行ったときに英語を使ってやりとりしたい

・留学したいから

・海外ドラマを字幕なしで見てみたい

・英語ができたらなんかカッコいい

・外国人とコミュニケーションを取りたい

といった学習動機が挙げられます。

 

その一方で、道具的動機とは、何か特定の実利的な目的のために学習する動機づけのことを言います。

例えば、

・就職に有利になる

・受験で必要

・テストで良い点数を取りたい

・先生に褒められたい

といった学習動機が挙げられます。

統合的動機は長期的な学習動機になりやすく、道具的動機は短期的な学習に有効であると言われています。

 

確かに「外国人と対等に話したい!」と思っていれば学習が尽きることがないのに、「受験のため」に勉強していると、受験が終わった瞬間に勉強を止めてしまいがちですよね。

 

どちらが良い悪いということではなく、どちらも大切な学習動機です。

学習者の中に一緒に存在し、状況によってその動機の強さが変化すると考えるのが自然とされています。

 

 

まとめ:理論を知りながら実践していこう!

以上、この記事では第二言語習得論での重要用語を10個ご紹介しました。

人がどのように第二言語を習得していくのか、その過程を知ることは面白いですね!

これまでの研究や理論を抑えながら、効率的に学習していくことを心掛けていきましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

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