Bright 英語教育

H30年度 イギリスブライトン大学でTESOL(英語教授法)を履修した公立高校教師が、英語教育について感じたこと・学んだこと、その他諸々を書き綴っていきます。 日本のbrightな英語教育を思い描きながら。

アクティブラーニングと学習ストラテジー

冬休みを迎え、のんびりできる時間が取れるので、自分の卒論のテーマでもあった、学習ストラテジーについてまとめていきたいと思います。

 

近年、「アクティブラーニング」という言葉が流行っています。教育界では「働き方改革」と並ぶ流行語ではないでしょうか。教員の講義形式ではなく、生徒主体の能動的な学習だ!認知的、理論的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成だ!と叫ばれ、様々な実用集が出版され研修会が実施されています。先生方によって、または教科によって様々な取り組み方ができるし、今後の教育を考えても、絶対に必要になることだと思うので、自分の授業で試行錯誤しながら取り入れていきたい。しかしそうは言っても、実際まだまだ教育現場には浸透していないのが現状ではないでしょうか。やはりアクティブラーニングの基となっている理論は何なのか、生徒にどのような力を具体的に付けさせていけばいいのかを理解していないと、活動はあるが学習がない授業に成りかねません。

 

そこで私はアクティブラーニングの授業を通して、「自律的学習者」を育てるという視点から「学習ストラテジー」に注目しています。詳しい定義等は抜きにして、ざっくりと料理に例えるならば、学習ストラテジーは調理方法、教材は具材や調理器具、授業が料理教室といったところでしょうか。いくら立派な具材と最新の調理器具が揃っていても、調理方法を知らなければ、何も作ることができないし、具材をただ腐らせてしまいます。逆に、あまり具材や器具が揃っていなくても、ある程度調理法を知っていれば、簡単なチャーハンやスープや、自分オリジナルの料理が作れるかもしれません。

学習もそれと似ていると思います。いくら教材や学習環境が揃っていても、学習者がどう勉強していいのか、どう教材を扱えばいいのかを分かっていないと、学習成果を出すことはできません。ただ教材や学習環境を無駄にしてしまいます。同じ教材を与えて同じ学習環境で学んでも習熟度に差が出てくるのは、学習者それぞれが持っている学習ストラテジーのレパートリーの多さ、より適切なストラテジーを課題によって選択し実行していく力による要因が大きいと考えられています。この学習ストラテジーを習得していくことが、授業で生徒の思考力・判断力・表現力を身につけさせていくことと深く繋がっていて、アクティブラーニング型授業の基盤となっていくと思います。

どう料理するかを学んでこそ具材を生かすことができます。学習においては、幸いなことに、最新の教材や情報はインターネットを通して自分でいくらでも手にすることができます。それらを使ってどう学習していけば良いかを身に付けていれば、どんどん自分で力を付けていくことができます。面白いのは、調理の方法がもこみち流もあれば平野レミ流もあるように、どう調理するのか(どう学習するのか)はその人次第で、その結果どんな仕上がりになるのか(どんな学習成果が出てくるのか)もその人次第だということです。これが絶対!というやり方はなく、その人が、その人の性格に合った方法を自分で見つけて実行していけば良いと思います。単語を覚えるという課題に直面した時、たくさん書いて覚える人もいれば、声に出して覚える人もいるし、こまめに単語カード作って覚える人もいます。どれかの方法を無理やり押し付けることようなことはあまり効果がありません。

ただ共通して言えることは、自分の方法で学習して成果を感じた時、できた!!という喜びを感じた時には、どうしたらもっと良くなるか自分で調べるモチベーションが上がりやすく、そうなることで自分の学習ストラテジーのレパートリーが増えたり洗練されていき、それがまた次の成果につながっていくという〔学習ストラテジー・モチベーション・習熟度]の正のスパイラルに入ることができるということです。この3つはにわとりが先か卵が先か論と同じで簡単な因果関係で証明することは出来ませんが、学習ストラテジーを向上させることでモチベーションが向上すること、また学習ストラテジーをより意識している人ほど、学習習熟度が高いことなどは多くの学者によって立証されています。そして生涯自分で学習して自分を向上させていくことに繋がっていくと言われています。

 

ということは、授業で生徒の学習ストラテジーを意識させていく、鍛えていくということは自律的な学習者を育てる、という観点から良いことづくしだと思います。文科省が新しい学習指導要領へ向けての改定で示した「生涯にわたって能動的に学び続けることができるようにするため、子どもたちが“どのように学ぶか”という学びの質を重視した改善」ともストラテジー指導はばっちり重なります。そして授業も自然とアクティブラーニング型と呼ばれる形式になっていくのではないかと思います。学習に対する見方・考え方が大きく変わろうとしている今だからこそ、ストラテジー指導にもっと目をむけるべきだと思います。

次回から、授業で実際にやってみたストラテジー指導を紹介してみたいと思います。